嵯峨菊は嵯峨天皇の御代、大沢池の菊ケ島に自生していた嵯峨野独特の野菊を、永年にわたって王朝の気品ある感覚をもって洗練し「天、地、人」の微妙な配置に仕立て上げた、格調高い菊である。古典菊の精華、嵯峨菊は1鉢に3本仕立て、草丈は殿上から鑑賞するのにちょうどよい高さの約2メートルに仕立てる。花は先端が三輪、中程に五輪下手に七輪と、七、五、三に。葉は下部を黄色、中程は緑、上の方は淡緑というように仕立て、春夏秋冬をあらわすことになっている。花弁は平弁で、54弁。長さは約10センチが理想とされ、色は嵯峨の雪(白)、右近橘(黄)、小倉錦(朱)、藤娘(桃)などの淡色が多く、あまり混植をしない。
(大覚寺)
(監修:小笠原左衛門尉亮軒)