花き市場は何のためにあるのでしょう?理由は簡単。見事に育ち、咲いたお花を、その良さが損なわれないうちに、それを必要とする皆さんにお届けする手助けをするためです。それではまず、お花の流通(商品が消費者まで届く流れ)からご説明しましょう。

花の流通

お花を作っているのは、もちろんお花の栽培農家です。さて、そこからお花はどのようにして皆さんのところまで届くのでしょうか?これを簡単に表すと、このようになります。

花き生産者
花の栽培農家をはじめ花き栽培し、出荷する皆さんを花き生産者と呼んでいます。花き生産者は、種や苗から花を育て、すばらしい花を咲かせます。蘭や観葉樹木など、永いものだと出荷までに5年以上の歳月がかかる場合もあります。咲いた花は出荷に向け、熟練の技術で丁寧に荷造りされます。
花き出荷場
荷造りされた花きは、近くの花き出荷場へ持ち込まれ、その後、各花き市場へ運ばれます。花き市場が近くにある場合、生産者は直接市場へ持ち込むこともあります。
花き市場(花き卸売業者)
花き市場に到着した花きを、花き卸売業者が荷受し、セリなどの取引を実施します。取引の済んだ花きは、花の卸問屋の花き仲卸業者をはじめ、各買参人へ引渡しされます。
花き仲卸業者
花き市場の取引単位は大きいため、多くの花屋さんは、花き仲卸業者を通じて花を仕入れます。花き仲卸業者は競り落とした花を小分け、再包装、配送等をします。
生花店・園芸店
お花屋さんの代表は、生花店と園芸店です。そこでは、花き市場あるいは仲卸から仕入れたお花が店頭に並べられます。切花は水揚げされ、鉢物には適度に水が与えられ、皆さんのご来店をお待ちします。

でも、どうしてこのような流通経路が必要なのでしょうか。花き生産者から直接生花店にお花を届ければいいのでは?と思いますよね。それは花きという商品が独特の性格を持っていることに起因しています。

花き流通の特徴と花きの商品的性格

生鮮食料品並みの素早い大量流通

花きは生鮮食料品の性格を持っています。つまり、生産者が商品を出荷後、品質は刻々と劣化していきます。特に切花でこの性格は強く、生鮮野菜や鮮魚と同様、新鮮なうちに売り場に並べられ、皆さんのお手元に届かなければいけません。実は、農林水産省においては、花きは食品に分類されています。
鉢物においては、花苗や観葉植物など、皆さんが手にしてからさらに良い状態になる可能性を秘めたものもたくさんあります。が、それでも鮮度の高いうちに消費されるべきことは言うまでもありません。鮮度が損なわれないうちに、大量の花きを流通させる仕組みが必要なのです。

「今ある品質」を守る流通

生鮮食料品の性格がある花きですが、生鮮食品と違い、「煮ても焼いても…」ダメ!それに冷凍保存もできません。鮮度を別の価値に振り替えることができない商品です。さらに、花が傷つくことはもとより、汚れがつくことさえ許されません。つまり、花きは生鮮食品以上に「今ある品質」を守りながらの流通させる必要があります。

日々、商品価格を決定できる流通

あたりまえのことですが、花きは観賞するためにあります。これに、切花ではアレンジや生ける楽しみ、鉢物では育てる楽しみが加わります。観賞価値というのは、***ピクセルとか***インチとか、定量的に表すことが難しいもので、需要者である皆さんの感性で決まります。また、同じ生産者が、同じ仕立ての品種を出荷していても、その品質は日々、多少変動します。したがって、花きの価格は前もって、「いくら」と設定しづらいのです。花きの流通過程においては、日々、商品価格を決定するシステムが必要です。